ドイツ歌曲をもとに書いた詩の一部

風の音に耳を澄ませば、愛のささやきが聞こえてくる。素肌に上質なシルクのローブをまとったかのように、なめらかで心地よい春の風は、街のいたるところで恋人たちを祝福し、彼らの口づけを爽やかにする。ああ、風よ、風よ。あの娘のうるわしい黒髪をゆらすざわめきの中でわたしは、実らぬ恋を嘆き悲しまなければならないのか!ああ、風よ、風よ。もうこれ以上、わたしを苦しめないでくれ!お前がこの娘の黒髪を揺らしてしまったがために、わたしはあの娘に恋をしてしまったのだから!